理学療法士の役割
地域包括ケア支援体制における理学療法士に求められる役割
地域包括ケア実現のために、「医療・介護連携」「認知症施策」「地域ケア会議」「生活支援」「介護予防」の5つの分野において充実と強化が求められます。
いずれの施策においても理学療法の専門知識を活用することが可能です。特に「医療・介護連携」「地域ケア会議」「介護予防」の3つの分野では、理学療法の専門職としての協力が求められます
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厚生労働省「地域支援事業の充実と介護予防給付の見直し」より
医療・介護連携における理学療法士の役割
医療介護連携では、埼玉県医師会を中心に進められる「在宅医療介護連携拠点整備事業」の様に地域内での医療・介護のスムーズな連携強化への協力が必要です。在宅生活を早期に実現するために、リハビリテーションが必要な方の抱える個人的な課題にあわせ、リハビリテーション専門職の立場で自立支援に資する情報発信や助言が求められます。医療機関から退院する際に、介護保険サービスや生活支援等の担当者に対する情報発信を積極的に行う必要があります。そのためには、地域資源や地域特性を理解し、今必要なサービスだけでなく、将来予測に基づいた情報発信も求められます。何より、圏域内での顔の見える関係作りが重要なため、その様な場への積極的な参画が必要です
地域ケア会議における理学療法士の役割
地域ケア会議には、「地域個別ケア会議」と「地域ケア推進会議」があり、地域の実情に合わせ様々な方法での地域ケア会議が企画されています。現在、19の市町の地域ケア会議に参加しています。
地域包括支援センター等が開催し、個別ケース(要支援事例、困難事例等)の支援内容を通じて、地域支援ネットワークの構築、高齢者の自立支援に資するケアマネジメント支援、地域課題の把握などを行う会議です。理学療法士は、自立した生活への支援を意識した助言や具体的な生活行為の改善のための提案を行うことが求められます。市町村によって主催や参加職種、進行方法なども様々ですので、意図をくみ取り会議目的に合った発言が必要です。
市町村レベルで開催し、地域課題の把握、地域づくり・資源開発、政策形成などを行う会議です。地域個別ケア会議で明らかになった地域課題等について情報共有や検討を実施します。
理学療法士は、地域の状況を把握し、自立支援の観点から、自助・互助によるあらたなサービスの模索など予防事業と地域の発展、経済効果等を勘案した発言や提案が求められます。
介護予防における理学療法士の役割
介護予防では、機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけでなく、生活環境に調整や、地域の中に生きがい・役割をもって生活できるような居場所と出番づくり等、高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めたバランスのとれたアプローチが重要とされています。理学療法士は、地域において自立支援に資する取り組みを提案することが求められます。
地域づくりによる介護予防推進支援モデル事業について
埼玉県では、平成26・27年度、厚労省が主催する「地域づくりによる介護予防推進支援モデル事業」に参加しています。平成26年度は毛呂山町、27年度は下図にある、13の市町で市町村担当者と理学療法士の協力体制で、地域づくりによる介護予防事業を進めています。
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厚生労働省「地域支援事業の充実と介護予防給付の見直し」より
上記以外にも介護予防事業への協力を要望いただき、理学療法士を派遣している市町村もあります。
介護予防事業においては、「介護予防教室での講師や運動指導」「介護予防ボランティア養成講座の講師や運営協力」のご依頼が多く、市町村の担当者とともに、既存の資源などを活かした新しい介護予防事業のデザインづくりから一緒に、考える事などを求められます。